作成日:2025/04/02
令和7年度税制改正のポイント
令和7年度税制改正の主なポイントは次の通りです。
〇企業関係
1.リース関係
新リース会計基準が公表され、上場企業等の大規模会社では、令和9年4月1日以降開始する事業年度から適用されますが、これに伴って次のような整備が行われました。
(1)オペレーティング・リース区分の維持と支払リース料の損金算入措置の維持
新リース会計基準では、オペレーティング・リース取引についての取り扱いが変更されますが、税法は従来の取り扱いが維持されます。したがって、新リース会計基準を適用する会社では、オペレーティング・リース取引に関して税務調整が必要となります。
(2)所有権移転外ファイナンス・リース取引
改正前基準では、所有権移転外ファイナンス・リース取引において残価保証の取り決めが付されたリース資産については残価保証額を残存価額として減価償却を行っていますが、この点について改正が行われます。新リース会計基準では、残価保証の取り決めがある場合でも、使用権資産についての残価価額はゼロとして減価償却を行うこととなり、税務上の償却方法(リース期間定額法)についても同様の取り扱いが行われることとなりました。
(3)リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度の特例の廃止
改正前基準では、リース譲渡(ファイナンス・リース取引によるリース資産の引き渡し)を行った場合、延払基準の適用が認められていましたが、新リース会計基準では延払基準が廃止されたため、法人税法でも同様にこの取り扱いを廃止することとなりました。また、消費税法でも同様の取引について延払基準による処理が認められなくなりました。
(4)外形標準課税の見直し
不動産の賃貸借取引は、新リース会計基準でリース取引に該当すると認定される可能性がありますが、外形標準課税上は、従来通り、支払賃借料として取り扱われます。
2.防衛特別法人税の創設
令和8年4月1日以後開始事業年度から防衛特別法人税が適用されます。
税額は、(基準法人税ー500万円)×4%となります。
3.その他
中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制、先端設備等導入計画の固定資産税の減免制度など投資促進税制が一部改正の上、延長されています。また、中小法人の法人税の軽減措置なども延長されます。
〇個人関係
1.所得税の基礎控除の見直し等
所得税では、収入や所得から一定額を差し引く控除の仕組みがあり、これまでは、基礎控除が48万円(合計所得金額2400万円以下)と給与収入がある人はそれに加えて給与所得控除(最低55万円)が認められていました。
今回の税制改正で、給与所得控除の最低額が65万円となり、合計所得金額655万円以下の人には63万円〜95万円の基礎控除が認められることとなりました。これにより、1人当たり2〜4万円前後の所得税が軽減されることなります。
2.事業承継税制の見直し
法人版事業承継税制における贈与税の特例制度の要件の見直しが行われました。これまでは、後継者は、贈与の日まで引き続き3年以上役員であることが必要とされていましたが、贈与の直前において役員に就任していればよいこととなりました。また、個人版事業承継制度においても事業従事要件を緩和し、贈与の直前において特定事業用資産に係る事業に従事していればよいとされました。